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書籍紹介  「心を耕す剣道」 小林英雄対談集 体育とスポーツ出版社 ¥2370

 この本は剣道の技術解説書ではありません。

 剣道界の重鎮、現役のあるいは過去の名選手、古流宗家、経営者、作家など様々な人22名が登場し、小林英雄神奈川県剣道連盟会長と対談をします。修行の厳しさや剣道を通じた人との出会い。それぞれの道を究めたひとの人生に接すると、そのタイトル通り「心を耕している」というか何ともゆったりとした気持ちになります。

 剣道とはかくも奥が深いものか。かくも人の生き方に影響を与えるものかと驚きます。そして剣道をやっていてよかったと思えてきます。剣道の経験の有無を問わず、一般の社会人として、あるいは親として、人を指導する立場にある人にはよい参考書となると思います。

 月刊剣道時代に連載されたものをまとめたものです。

書籍紹介  「天狗芸術論・猫の妙術」 佚斎樗山(石井邦夫 訳注) 講談社学術文庫 ¥700

 

 難解です。いろいろな雑誌などで引用されていたので書名は知っていました。天狗が剣術者に対して武芸と心術の核心を解く「天狗芸術論」。大ネズミを捕まえた猫が若い猫に対してネズミ捕りの極意を伝授する「猫の妙術」。いずれも剣の修行者に対して心の有り様、考え方を天狗や猫の言葉を借りて解いていきます。

 

 巻末の解説に、「武道を稽古して五年十年というひとが『いつかは読まねば』と思っていないということはありえない。」などと書いてあったので買ってはみたものの内容は難解です。著者は江戸時代の人(1659-1741)です。当時の武士の修行に対する考えかた、態度などがわかります。あの頃はこんな難しいことを考えながら修行していたのかと驚く一方、内容を理解できない自分が情けない。

 一度読んでそれで終わりではなく、何年かあとにまた読めばまた別な理解があるという類いの本です。

 

 

 

 

 

書籍紹介 「本当のナンバ 常足」 木寺英史 スキージャーナル社 ¥1300

 

 常足と書いて「なみあし」と読みます。最近古武術の体の運用方法を現代のスポーツに応用して効果を上げたという記事をとき

どき目にします。古武術の体の運用の一つがこのなみあしで、別な言葉で「なんば」と呼ばれています。

 昔の日本人の歩き方は今と違っていたらしいというのが研究の発端のようです。私たちは通常右足が前のとき左手が前に来る

ように手を振ります。しかしこのような歩き方は、手ぶらなら別ですが、腰に刀を差した状態ではとても歩きにくいものです。

 では昔の人(少なくとも侍)の体の運用はどうだったのか。その体の運用を現代の剣道に生かせないものか。剣道七段の著者

は自分の剣道のけい古を通して様々な工夫をこらし、興味深い事例を紹介しています。

 私も今少しなみあしが理解でき、歩く時やランニングに取り入れています。これまでで一番効果があったのは階段を登るときで

しょうか。登るのが楽になりました。剣道に取り入れるにはまだまだですが。

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